明度の記録一 「こんな演奏がいいと思うんだ」 信はそう言うと、古いAndroidのちゃちな五線譜アプリを開いて見せた。再生ボタンを押すと、ピアノを模した合成音源は、なんとかその曲を弾ききった。ページめくりと、複雑な和声の箇所で、いちいち引っかかりながら。しかし、頭から終いまで、鋼のように揺るがぬリズムを保ちつつ。 瓦屋根の軒先の下で、ぶつ切りの西瓜を挟んで座りながら彼